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バイトの時給はいくらがベスト?時給の決め方と最低時給について

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時給を決めるイメージ

アルバイトの時給は何を基準に決めればいいのだろうと考える方も多いと思います。
楽な仕事だから低めでもいいとか、応募者が多いから高くする必要はないなどと安易に設定してしまうと、ある日突然、労働基準監督官に抜き打ち検査に入られたりすることがありますから慎重に判断しなければなりません。今回は、「最低賃金法」の解説とともに時給の決め方について紹介しますので参考にしてください。

最低時給について把握していますか?

時給イメージ

最低賃金とは、「最低賃金法に基づき、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額」のことです。最低賃金は1時間あたりの額になっているため、最低時給と呼ばれることもあります。

最低賃金は従業員の生活の安定と労働力の質的向上を目的としており、また事業の公正な競争を確保するとともに、国民経済の健全な発展を図るものです。

職種に関係なく、パートやアルバイト、臨時、嘱託、派遣労働者、外国人労働者も含めたすべての労働者に適用されます。

最低賃金は、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の2種類があります。

地域別最低賃金は、都道府県ごとに定められるもので地域差があります。

また、賃金の実態調査結果などを参考に見直され、ほぼ毎年10月に改定されています。

2024年10月に改訂された現在の最低賃金を、東京、大阪、福岡の3地域を例に見てみると以下の金額になっています。

  • 東京=1163円
  • 大阪=1114円
  • 福岡=992円

なお2024年12月19日の日本経済新聞によると、連合は、2025年度の最低賃金引き上げについて、全都道府県で時給1000円以上にすることを目指すと発表したそうです。

さらに特定(産業別)最低賃金は、特定の産業について設定され、地域別最低賃金よりも高額にすることが必要です。対象となる職種は都道府県別に定められていますが、飲食店関係の職種は含まれていません。

このように、最低賃金は一定ではありませんので、厚生労働省のwebサイトなどで毎年チェックして、それより低くならないようにしなければなりません。

また仮に使用者と労働者が話し合い、最低賃金以下の条件で契約したとしても、その契約は無効です。労働省のwebサイトなどで毎年チェックして、それより低くならないようにしなければなりません。

最低賃金の対象となる賃金は?

最低賃金の対象となるのは基本給です。残業代やボーナスなどは含まれません。したがって残業代やボーナスを含めた賃金で計算した時給が最低賃金を上回るだけでは不十分です。

最低賃金のチェック方法は?

支給している賃金が最低賃金以上になっているかどうかは、以下のようにして確かめます。

1.時間給の場合

時間給≧最低賃金(時間額)

2.日給の場合

日給 ÷ 1日の所定労働時間≧最低賃金(時間額)

3.月給の場合

月給 ÷ 1カ月平均所定労働時間≧最低賃金(時間額)

具体的な事例をご紹介します。

基本給:150.000円 / 月

職務手当:30,000円

通勤手当:5,000円

時間外手当:30,000円

合計:215,000円

年間労働日数:250日

労働時間:8時間 / 日

最低賃金:1000円

通勤手当、時間外手当は適用外であり、次のように計算します。

(150,000円+30,000円)× 12カ月 ÷(250日×8時間)= 1080円 >1000円

したがって最低賃金以上を支払っていることになります。

もう一つ事例をあげます。

基本給:日給6000円

ある月の労働日数:20日

職務手当:25,000円

通勤手当:5000円

合計:150,000円

年間労働日数:250日

労働時間:8時間 / 日

最低賃金:950円

基本給の時間換算値:6000円 ÷ 8時間 = 750円

手当の時間換算値:(25,000円×12カ月)÷(250時間×8時間)= 150 円

この際に通勤手当は適用外です。

合計の時間換算値:750円+150円=900円<950円

したがって最低賃金を下回っていることになります。この事例のように、意外に最低賃金を下回っているケースが見られるため、注意が必要です。

試用期間中は最低時給より安くていいの?

最低時給

アルバイトを採用した場合でも、勤務態度や仕事の適性などを判断するために、試用期間を設けることがあります。短いところでは1か月間ほどですが、3~6か月間が一般的です。


試用期間とは本来、正式採用することを前提としているもので、賃金は労働契約書や就業規則に定めたとおりに支払う義務があります。ただし使用者が都道府県労働局長の許可を得ることを条件として、試用期間中は最低賃金の減額が認められる特例もあります。


また試用期間中に、勤務態度が著しく悪いなどの理由で採用を取り消すことになったとしても、30日前までに解雇予告が必要です。即日解雇であれば平均賃金の30日分以上を支払う必要があります。ただし試用期間が14日未満の場合、解雇予告は不要です。


試用期間と混同しやすいことばに「研修期間」があります。研修期間とは、通常の業務につく前に基本的なスキルやマナーを身につけてもらうことが目的です。しかし、雇用主の業務命令で受けさせるわけですから労働時間に変わりはなく、最低時給を上回る賃金を支払う必要があります。


最低賃金を下回る賃金で雇っていい場合は他にもあるの?

次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件に、特例として最低賃金の減額が認められています。

  • 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
  • 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
  • 軽易な業務に従事する方
  • 断続的労働に従事する方

最低時給違反の罰則とは?

裁判イメージ

最低賃金は、労働基準法から派生した「最低賃金法」に定められているもので、違反すれば使用者に罰金が科せられます。地域別最低賃金以上を支払わない場合は50万円以下、特定(産業別)最低賃金額以上を支払わない場合は30万円以下の罰金です。また、使用者は最低時給との差額を労働者へ支払わなければなりません。

違反が発覚するケースとしては、受給した賃金が最低賃金より安いことに気づいた労働者が、退職した後に労働基準監督署に通報(申告)し、事業所に労働基準監督官が行政指導(臨検)に立ち入るというパターンが多いようです。

臨検は事前予告がなされることもありますが、たいていは抜き打ちで行われます。この労働基準監督官というのは、労働者の労働条件を調査し、適切な労働環境づくりを指導することを任務とする厚生労働省の職員で、司法警察の権限ももっていて「労働Gメン」とも呼ばれています。

臨検時に違反が明らかになれば是正勧告がなされます。勧告を受けたとき、何らかの事情ですぐに対応できないときは、弁明書や対応計画を提出することが必要です。それも行わず、勧告を無視したり、虚偽報告をしたりすると、違反が悪質だとして検察庁へ書類が送られます(送検)。場合によっては逮捕→起訴→裁判と進み、有罪が確定すれば罰金30万円以下の刑事罰が科せられることもあり得ます。

逮捕まで行かなくても、最低賃金法に違反している店として知られると、労働者を安くこき使うブラック企業のレッテルを貼られることは必至です。そうした状況をつくらないためにもアルバイトの時給を見直し、最低時給より低くならないように調整することが重要です。

最低賃金を労働者に周知する必要はある?

使用者は、最低賃金の適用となる労働者の範囲、最低賃金額、関係しない賃金などを、作業場の見えやすい場所に掲示する必要があります。

バイトの時給はこうやって決めよう!

時給を決めるイメージ

ではどのようにバイトの時給を設定すればいいのでしょうか?

人件費率から考える

人手不足が慢性化している飲食業界では、求人倍率が年々アップしています。時給をほかより高く設定すればいい人材が集まり、定着しやすくなりますが、人件費が高くなり過ぎては経営を圧迫してしまいます。

飲食店で利益を確保するには、人件費率が売上の20~30%が目安とされています。

人件費率は

「人件費÷売上×100%」

で求めることができ、たとえば売上が250万円で人件費が100万円の場合は、

「100万円÷250万円×100%=40%」となります。

しかしこれでは利益があまり出ないことがわかります。この例では、人件費の適正値は50万円~75万円となります。

だからといって雇用した後で時給を下げることはできませんので、初めにきちんと設定することが大切です。それには、最低時給を下回らないことを第一として、自店と同じエリアにある同業店の賃金よりも低くならないようにすることがポイントです。

求人情報誌や求人サイトで他店がどのくらいの賃金を提示しているかチェックしてみるといいでしょう。

時間帯で工夫する

人件費率を下げるために、時給1000円で11時~3時までとして募集するところ、同じ1000円で11時半~2時半までにするなど、本当に必要な時間だけ働いてもらうという考え方もあります。

また、不必要な残業をさせないようにしましょう。

残業手当は通常時給の1.25倍になることはご存知でしょうか?残業代は労働時間が一週間に40時間、一日8時間を越えると発生します。

例えば一日6時間勤務のバイトはさらに1時間残業しても残業手当は発生しませんが、一日8時間バイト勤務の場合は1時間残業すると残業手当が必要になります。

経営者側は残業させないように労働時間を守りましょう。

さらにサービス残業があるとバイトはすぐにやめてしまいます。

きっちり労働時間を管理して働きやすいようにすることもバイトを失わずに済む方法といえるでしょう。

労働基準法には深夜業という概念があり、22:00から翌日5:00までを深夜時間帯といい、この間の勤務を深夜業といいます。深夜業に対しては通常の時間給に対し、25%以上で計算した深夜割増手当を別途支払わねばなりません。

そのため夜まで営業している飲食店の場合、バイトの勤務は22:00までにするなど工夫できるでしょう。

競争店との兼ね合い

バイトをしようと考えている人は決まったエリア内で探す傾向がありますので、まずは同エリア内や同じジャンルのお店がどんなバイトの時給設定をしているかを把握しましょう。

バイトの立場としては同じ働くにしても少しでも時給がいいほうを選ぶのは自然なことです。といっても同じエリア内で一番高い時給設定にする必要はありません。周辺の時給よりも50円~100円くらい高い金額にすればトップになります。

求人情報誌や求人サイトを検索するなどして調べるのが一番簡単な方法といえるでしょう。

バイトの時給アップ制度をつくってモチベーションを上げよう

時給アップ制度イメージ

店舗によってバイトの昇給の有無は異なりますが、飲食店などでは勤務一年目以降で時給がアップしている店舗は多いようです。

また時給アップのポイントとして以下の方法があります。

定期昇給制度を活用する

定期的に昇給する制度を設けて時給をアップする方法であり、やり方は2種類あります。
1, 自動昇給
勤務年数や年齢に応じて全従業員が一律に時給を数円から数十円〜数百円上げる制度です。

  1. 考課昇給
    査定の結果を反映して行われる定期昇給です。

自動昇給よりも考課昇給のほうが労働者のモチベーションを高めるかもしれません。

新しい仕事を任せる

バイト勤務一年目から新人バイトの教育係を任せる、新しい仕事の責任者を任せるなどのように、新しく任せた仕事に応じて時給を上げるのもうまいやり方です。

勤務態度を評価して臨時昇給する

接客態度がいい、熱心に働く、言われた仕事以上の働きができるなどの勤務態度を評価して時給アップの対象にするのも良いでしょう。特定の時期を設けず、特定の労働者に対して行われる昇給であり、特別昇給と呼ばれます。
これに対して、労働者全員を対象に臨時昇給する方法もあり、ベースアップと呼ばれます。
スタッフと普段からコミュニケーションを取り、成長している点や頑張っている点などを褒めて言葉で評価することも、モチベーションアップに繋がります。

臨時ボーナスを支給する

お店によって売り上げが良かった月にはボーナスを支給したり、一日の来客数が一定のラインを超えるとその日に金一封がもらえたりするシステムを取り入れていることもあります。

厚生労働省が公表している同一労働同一賃金ガイドラインによれば、「’会社の業績等への労働者の貢献に対して支給されるものであれば、ボーナスと言えども同一の貢献には同一の支給をおこなうべき」とされています。

とは言え、一般的には臨時ボーナスが支給されることはまれであり、業績がすこぶる良かったベンチャー企業に限られるようです。従業員数の少ない飲食店で、一つのサービスが大当たりすると、臨時ボーナスとして還元されます。

こうした方法を取り入れることでバイトの働く意欲を高めることもできます。

まとめ

アルバイトイメージ

飲食店の三大経費は、材料費(原価)・人件費・家賃です。

とくに接客に重きを置いてスタッフを多く雇用する店では、人件費の占める割合は当然大きくなります。人件費率を下げるためにスタッフの数を減らすという考えではなく、売上目標に対して人件費にかけられる金額を割り出し、それに合わせて効率よくシフトを組むというように工夫をすることが大切です。

これをコスト・コントロールといい、飲食店の管理業務の中核ともいえるものです。

また、一番の理想は経営側とバイト側が気持ちよく長く働けるということではないでしょうか。

能力や経験に応じて時給をアップすることで、大切な人材を失わずに済むことも知ることができたと思います。バイトの時給に対する満足度が高ければ転職して一から人間関係を築くといったことを避け、いい人材を紹介してくれるきっかけにもなるので結果的にお店にとってメリットになるかもしれません。

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